「ヴィア・バスストップ（VIA BUS STOP）」代官山店は路面店で、ガラス張りのしゃれた建物です。地下１階がメンズ、１階が雑貨、２階がレディースの売場になっています。

　１階の入り口外のウインドーディスプレイには２体とも「アン・ヴァレリーアッシュ（Anne Valerie Hash）」の服が着せてありました。パリ・オートクチュールコレクションに参加している実験的なブランド。コム・デ・ギャルソンがロンドンに開いた直営店「ドーヴァー・ストリート・マーケット」でも扱っています。１階はシューズ、バッグなどの小物が充実していました。店内奥の右側にはステーショナリーや食器も並んでいます。

　２階に上がると、インポートの世界。最初に目に付いたブランドは「イーストン・ピアソン（Easton Pearson）」。オパム・イーストン氏とリディア・ピアソン氏が1989年に立ち上げたオーストラリアのブランド。2004―2005年秋冬コレクションから、「ヴィア・バスストップ」が日本で独占契約しています。かなり素材にこだわりを持っているらしく、コットン、ウール、シルクしか使わないそうです。１点１点が手作りで、エスニックなテイストに都会的な感じとヴィンテージの風合いがミックスされていて、何とも言えない存在感です。

　私が一番気に入った商品は、ヴィンテージ風の黒のラッフルがたくさん付いた長めの黒のワンピースです。素材はコットンで、小花がカットワークされていて、その周りに小さなスパンコールがところどころちりばめられています。値段は５万円ぐらいでした。

　商品は２ラックも揃っていました。バーニーズを上回る品揃えです。店員さんは「このブランドはヴィア・バスストップとバーニーズしかまだ扱っていない」と言っていました。さすがに他店が揃えていないブランドをいつも先に揃えるヴィア・バスです。

　ちなみに「ヴィクター＆ロルフ」や「アレキサンダー・マックイーン」「ジャン・コロナ（Jean Colonna）」などのブランドも、「ヴィア・バスストップ」が最初に独占販売してから世に出ていったという記憶があります。2004年春夏物からは「フセイン・チャラヤン（Hussein Chalayan）」の日本での独占販売権を得ています。

　「イーストン・ピアソン」の隣には「ヴィクター＆ロルフ」のコーナー。店内中央では「アン・ヴァレリー・アッシュ」を大きく打ち出していました。ブラウスやボトムスなど、どれも繊細でやわらかく、ヴィンテージ感がありました。色はアースカラーやオフホワイト、ブラックが中心。小物もとても素敵でした。

　私が気になったのはアンティークレース風のアイボリーの付け襟みたいなネックレスです。真ん中に貝殻ボタンが付いていてきれいでした（２万4000円）。そのほか、ベルトもレースや布でできていて優しい感じでした。すべてが丁寧で繊細な作りで、新オートクチュールという感じです。

　その隣に、ミラノコレクションに参加している日本人デザイナー、瀬田一郎氏のブランド「ジボ・バイ・セタ・イチロウ（Gibo By Seta Ichiro）」のコーナーが。イタリアのジボ・コー社はクリエイティブディレクターに2005年春夏コレクションから瀬田氏を迎えています。大人の女性が似合いそうな柔らかいスカートが素敵でした。その隣が「マルニ」。花柄プリントなどのお得意のブラウスは健在でした。

　なかなかおもしろかったのが「ベルンハルト・ウイルヘルム（Bernhard　Willhelm）」。カッティングがおもしろいストリート風アバンギャルド。中でもポンチョみたいな形のプリントワンピースや、乗馬の風景のカットソー、スカーフプリントのホルターネックブラウスが素敵でした。マルタン・マルジェラ氏やドリス・ヴァン・ノッテン氏、アン・ドゥムルメステール氏らを輩出した、ファッションの名門、アントワープ王立アカデミー（ベルギー）の卒業生です。

　プリントにファンタジーとグロテスクさがあって、キモ可愛い感じです。ちなみに私は芋虫プリントのバッグを持っています。

　「ヴィア・バスストップ」はオンワード樫山の子会社、バスストップが経営しています。全国で20店舗ほどを展開しています。代官山店は1999年に出店したフラッグシップ・ショップの一つ。オンワードが83年、サンジェルマン通りに面したブティック「バスストップ」の営業権を買い取ったのが始まりです。

　代官山店の店員さんはブランドの知識が豊富で、着こなしもかっこよかった。店内はスッキリしていて混雑していないので、ゆったり見て回れます。代官山という場所柄もあって、お休みの日に優雅な気分でのんびり買い物を楽しみたい人にはお薦めです。 ２００５年春1st

［店舗データ］ VIA BUS STOP代官山店 渋谷区猿楽町28-14 03-5459-1567