百貨店は上層階にあるラグジュアリーブランドのフロアーに上がれば上がるほど、客数は少なくなるのが普通なのに、伊勢丹新宿本店（東京・新宿）の４階は平日でもお客様でにぎわっていました。

　セレクトショップ「リ・スタイル（Re-Style）」では前回と同様、「Ｙ―３」「ロシャス」「ドリス・バンノッテン」の新作が入荷していました。「ダイアン・フォン・ファーステンバーグ」のワンピースも掛かっていました。

　そんな中、かっこいいコートを発見しました。トレンチコートは今年はいま一つ、と思っていましたが、ありました。かっこいいコートが。「RAMO SPORTS by E2」です。シンプルなトレンチコートの襟元から縦にかけて、鳩目で穴開け加工が施されています。シンプルなのにアバンギャルド。目立ちます。お値段は１４万円ちょっとでした。夫婦ユニット「E2（ウー・ドゥー）」が手がけたコートの復刻版です。パリのセレクトショップ「コレット」でわずか２日で完売したそうです。

　デニムブランド「トゥルー・レリジョン」のコーデュロイパンツがありました。ジーンズの後ろポケットにパイソン柄が付いたモデルもディスプレーで打ち出していました。パイソンポケットのジーンズは通常の「トゥルー・レリジョン」より少し高めの４万円ちょっとでした。でも、売れそうです。

　「C&C California」のカットソーがたくさん入荷していました。数年前にニューヨークの「ヘンリ・ベンデル」でも見たことがあります。カットソーの素材が薄手で伸縮性があり、色もカラフルで、デニムにピッタリです。前回より日本のブランドが増えていました。期間限定の「トーガ（TOGA）」をはじめ、「ミナ・ペルホネン（mina perhonen）」「グリーン（green）」「マリリン・ムーン（marilyn moon）」はコーナーが広くなっていました。

　一方、「リスタイル・プラス」では「アン・ドゥムルメステール」と「リック・オウエンス」をプッシュしていました。パリコレクションに参加している「ブレス（Bless）」が入荷しています。シルバー色が目立っていました。

　「ジョン・リッチモンド」のジーンズとＴシャツも入荷。２００４年ごろから日本でも人気が出ているミラノブランドです。

　知人がイタリアに行ったら、日本の若い男性が「ドルチェ＆ガッバーナ」のジーンズをはいているように、イタリアでは大勢がヒップに「RICH」とロゴが入ったジーンズをはいていたそうです。スパンコールとビーズをあしらったスカルラビットのＴシャツがありました。ステラ・マッカートニー氏が手がけていたころの「クロエ」のＴシャツに似ているなぁと思いました。

　有名人のポートレートを手作業で描くニューヨークブランド「アイコニック・クチュール（Iconic Couture）」が入荷していました。伝説のパンクバンド、セックス・ピストルズのベーシスト、シド・ヴィシャスをスワロフスキーで描いたＴシャツも。「Diamond　Dogs」のロックなライダースジャケットと並んで、「パンク＆ロック」のスピリッツを感じさせました。

　「リーバイス」の１９５０年代の「５０１」の復刻版も再入荷していました。日本のブランドでは「TALKING ABOUT THE ABSTRACTION」がありました。古着やアンティークジュエリーを写真プリントしたＴシャツや、手描きの服や雑貨のパーツを生地にプリントした作品が並んでいます。

　「だまし絵」的効果も感じられます。スニーカー（１万６８００円）は片方の靴の紐がほどけてしまっていてリアリティーたっぷり。

　今回特にインパクトがあったのはアクセサリーブランドの「カテリーナ・ザングランド（Caterina Zangrando）」。イタリア人デザイナーが手がけています。大粒と小粒のパールを組み合わせ（小粒パールは本物）、さらに様々な形のガラスビーズを付けています。ミッキーマウスやティンカーベルなどのディズニーキャラクターが揺れています。ガラスビーズはイタリアのベネチア　ムラノガラスを使用しています。

　キッチュなネックレスやブレスレットはジャンク風ですが、型破りなデザインに見えて、実は素材は本物志向でゴージャス。売り方もユニークです。昔からあるおもちゃの「ガチャガチャ」のような、丸いプラスティックケースに入れて販売しています。ただし、お値段はネックレスが６万円・・・。おしゃれ上級者向けアクセサリーです。

　日本ではエッジが利いた服が好きな人はまだ若い人が多い気がしますが、百貨店トップレベルの動員を誇る伊勢丹の「リスタ・プラス」でこういう服を好きになる大人が増えていってほしいと思いました。 ２００５年春2nd

［連絡先］
住所　　新宿区新宿３−１４−１　伊勢丹新宿本店４階
電話　　０３−３３５２−１１１１（新宿本店大代表）