まだまだ残暑が続きますが、有力ショップの店頭にはもう秋物が出回っています。「暑い」と思っても、やはり新作に目が行ってしまいます。
「バーニーズ・ニューヨーク銀座店」のウインドーディスプレーも秋の表情です。2005―2006年秋冬のキーカラーが黒だけに、ディスプレーされた商品の大半がブラック。ターコイズやパイソン柄がもてはやされた2005年春夏とはガラッとムードが変わります。
正面玄関脇のウインドーには、オーストラリア人デザイナーのブランド「コレット・ディニガン(Collette Dinnigan)」のエレガントなブラックドレスが飾ってありました。パーティーにはうってつけです。ディニガン氏はパリコレクションの常連で、「オーストラリアファッション界の女王」と呼ばれる大物です。
「マルタン・グラント(Martin Grant)」の黒のふわっとしたクラシックなドレスもフォーマルな場で着られそうです。マルタン・グラント氏は「バーニーズ・ニューヨーク」のオリジナルコレクションのデザイナーでもあるそうです。カッティングがとてもきれいなドレスは昔、テーラーで経験があったからこそでしょう。
ブランドをミックスしたディスプレーもありました。「ジョン・ガリアーノ」の手編みボヘミアン風ニットに、「クロエ」のコーデュロイのタイトスカートを組み合わせていました。「ジョン・ガリアーノ」と「クロエ」というコーディネートが意外でしたが、「ジョン・ガリアーノ」でそろえないで、あえて「クロエ」をミックスすることによってやわらかい印象を出すという意味では、銀座という土地柄の客層に合った提案でしょう。
2階ではセールと秋物がほぼ半々でした。「バーニーズ」のオリジナルブランドのコーナーが以前よりも広がっていました。
米国・ロサンゼルスのブランド「LOYANDFORD」の新作がそろっていました。かなりタイトでスリムなシルエットのジャケットで、ラインがきれいです。ジャケットの後ろに大きなスパンコールの花が付いていました。エッジの利いたアバンギャルドなジャケットが気になりました。男性2人組のデザイナーユニットです。
ドメスティック(国内)ブランドも以前より増えていました。高巣満導(たかす・まんどう)氏ブランド「マンドー(mando)」がラック1本を埋めていました。特にジャケットやコートがそろっています。メンズから始まったブランドだけあって、テーラー風の仕立てがきちんとしていました。ちょっと変わったブランド名はデザイナーの本名にちなんでいるそうです。
今回、一番気に入ったブランドは「サカイ(sacai)」です。2005―2006年秋冬のラインはバイヤー、スタイリストから絶大な評価を受けています。デザイナーの阿部千登勢氏は「コム・デ・ギャルソン」のパタンナーを務めていたそうです。ニットの経験が豊富な彼女は「ニット=セーター」という固定した発想にとらわれず、しなやかな発想でニットに新しい命を吹き込んでくれます。
今回もトラッドなアーガイルのセーターにシルクジョーゼットやくるみボタンを合わせた、異素材のミックス感が目新しさを感じさせます。背中全面をニットだけで覆うのではなく、わざと背中の真ん中に縦に裂け目を設け、サテンのような別生地でつないだニット商品は背中に視線を引き付ける効果がありそうです。大人の女性が着られる、遊びのあるブランドとして一押しです。プライスはニットが2万〜3万円台の物が多く、リーズナブルで、リアルクローズとしてもおすすめです。
2005秋1st
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