2004年10月にオープンした「バーニーズ・ニューヨーク(BARNEYS NEWYORK)銀座店」にとって初めてのスプリングシーズン。「ダイアン・フォン・ファーステンバーグ(DIANE von FURSTENBERG)」などの大御所ブランドを押さえつつ、ニューヨークの新興ブランドをアピールしていました。
ニューヨークの百貨店にはつきもののドアマンを、日本のデパートではほとんど見ませんが、バーニーズにはちゃんと居ます。入店するときにドアマンが扉を開けてくれると、お買い物を始める前から気持ちが浮き立ちます。
私は個人的に昔から、新宿のバーニーズのウインドーディスプレーが大好きです。クリスマスやバレンタインデーのシーズンは特にかっこいい。ホームページで過去のディスプレーが見られるようになっている百貨店は日本ではここだけかもしれません。それだけに、銀座店はオープン前からワクワクしていました。
銀座店はニューヨークのバーニーズ本店に一番近いレイアウトだと思います。外観は全体にクラシックテイストですが、どこかモダンな雰囲気のたたずまいです。地下1階から2階へとつながる吹き抜けの階段に、巨大なオブジェが置かれていて、圧倒されます。
1階は雑貨、化粧品、ジュエリーが中心で、奥にメンズ雑貨があります。地下1階がメンズ。2階がレディースという売り場構成です。わずか3フロアですが、そのセレクトの確かさが、実際の広さ以上の充実感を与えてくれます。
新宿店は各フロアごとにコンパクトにまとめて見せていますが、バーニーズ本店はを短い1ラックに1ブランドを架ける見せ方。銀座店は本店に近いレイアウトです。ラックごとに細かくブランドの名前を掲げてくれているので、宝探しのようにフロアをめぐる楽しみが味わえます。
訪れたのは1月下旬でしたが、この春に注目のブランドは何でも揃っているという感じの見事なラインアップでした。春物では「ダイアン・フォン・ファーステンバーグ」を前面に押し出していました。柔らかいシフォン素材を使った、フェミニンな花柄のブラウス、ワンピース、スカートなどが揃っていました。色も優しいパステルカラーで、丸の内・銀座で働く女性に受けそうです。
その隣に「ミリー(Milly)」と「ジュリア(Julia)」というブランドが並んでいました。「ミリー」はニューヨークの百貨店「サックス・フィフス・アベニュー」でもよく見かけたニューヨークのブランド。ブランド名はデザイナー、ミッシェル・スミス(Michelle Smith)氏の愛称です。
ニューヨークのお嬢様ファッションという感じです。色もピンクやイエロー、ブルーなど、かわいらしい感じ。昔の横浜元町ファッションといったところでしょうか。パリの「エルメス(Hermes)」「ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)」などで働いた経験があるそうです。
「ジュリア」は「ミリー」より少し大人っぽい雰囲気。でも、シフォンやビーズ、刺繍使いのワンピースのようなフェミニンなブランドです。そのほか「キャシャレル(Cacharel)」にも力を入れていました。
カジュアルコーナーではデニムやトップスを展開していて、いわゆるプレミアムジーンズの「ヤヌーク(YANUK)」や「トゥルー・レリジョン(True Religion)」を扱っていました。「ヤヌーク」は2003年にロサンゼルスでスタート。ちょっと聞き慣れないブランド名は、デザイナーのヤエール・トルバティ(Ya-el Torbati)氏と、マネジャーのアヌーク・アイリーン・ギュエス(Anouk Irene Guez)氏の名前から取っています。ユーズド感やヴィンテージ感を強調した風合いと、女性デザイナーならではの履き心地で人気です。
デニムブランドにはロサンゼルスのものが多いのですが、一緒に置いてあった「ハビチュアル(HABITUAL)」はニューヨーク発のデニムブランド。イタリアで経験を積み、ニューヨークに戻ったデザイナー、マイケル・コロボス(Michael Colovos)氏が手掛けています。「ミリー」といい、「ハビチュアル」といい、ニューヨークブランドを盛り込んでいるところは、店名に「ニューヨーク」と付いているバーニーズらしい気がします。
「ディベロップメント(development)」のトップスやパンツも目に留まりました。カジュアルだけど、仕事にも遊びにも着ていけるような雰囲気です。ロサンゼルスのデザイナー、フィリップ・リム氏が2000年にスタートしたブランドです。
個人的に気になったのが「イーストン・ピアソン(Easton Pearson)」というオーストラリアのブランドです。プリント・オン・プリントのアイテムはエスニック風でしかも都会的なエッジのきいたデザインでした。ハンドメードの刺繍やビーズの飾りが施されていて、クラフト感がありました。パメラ・イーストン氏とリディア・ピアソン氏が1989年に立ち上げたブランドだそうです。
お客様はやはり丸の内・銀座界隈で働いていそうな大人の女性が多くいらっしゃっていました。ファッション業界の関係者とおぼしき人も目に付きました。
バーニーズ銀座店の販売スタッフは客にぴったりくっつく接客はしないので、気持ちよく見て回れます。でも、質問すると、笑顔でちゃんと応えてくれて、うれしくなります。
ラグジュアリーなブランドを気軽に手に取って見られるのは、東京ではここだけかも。路面店やセレクトショップでは棚から直に取って見るのは気が引けます。けれど、銀座店は新宿店とも違い、ラックがたくさん並べてある平場風の造りで、すぐに手を伸ばすことができるのは、すばらしいと思います。特に春物は手触りを確かめて選びたい物が多いので、商品が選びやすい銀座店はお薦めです。
2005年春1st
[連絡先]
住所 中央区銀座6−8−7
電話 03−3289−1200
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