フランスの高級ブランド「エルメス（Hermes）」は９月１５日、創業者一族で５代目会長のジャンルイ・デュマ氏が経営の第一線を退くと発表しました。２００６年１月に名誉会長に就きます。主に健康上の理由とみられています。

　デュマ氏は「カレ」と呼ばれる正方形のスカーフをブランドの顔に育て上げた功績で知られています。長年、会長とアートディレクターを兼ね、「カレ」のすべてのデザインをチェックしてきました。

　「エルメス」はマルタン・マルジェラ（Martin Margiela）氏やジャンポール・ゴルチエ（Jean Paul Gaultier）氏ら前衛的なデザイナーを起用してきました。それでいながら、「エルメス」テイストが長年、一貫性を保ってこられたのは、デュマ氏がいたからこそだといわれています。

　１８３７年の創業以来、非創業者一族が経営トップに立つのは初めてです。パトリック・トマ共同ＣＥＯが新会長に就きます。デュマ氏は創業者の孫の娘婿だった４代目ロベール・デュマ氏の息子です。父の死後、１９７８年から会長を務めてきました。

　アートディレクターの後任はデュマ氏の息子、ピエールアレクシス・デュマ氏が任されます。ブランドテイストを守る仕事は引き続き創業者一族が務めることになります。