バッグや小物、アクセサリーで知られる米国のブランド「ケイト・スペード（Kate Spade）」が店舗の大幅拡大を計画しています。５年程度のうちに、独立店舗を現在の１８から最大で５０まで増やすプランのようです。同ブランドの親会社が同ブランドを売却するかもしれないという事情が背景にあります。

　米国の高級百貨店、ニーマン・マーカス（Neiman Marcus）は５月、投資会社に会社を売却することで合意しました。ニーマン・マーカスは１９９９年にケイト・スペード社を買収しています。ニーマン・マーカスが同ブランドを今後も保有し続けるかどうかは不透明で、今回の「ケイト・スペード」側の提案は同ブランドのポテンシャル（潜在的な力）をアピールし、「もうかるブランド」としての評価を求めた動きとみられます。

　「ケイト・スペード」ブランドのデザイナーはキャサリン・ノエル・ブロスナン（Katherine Noel Brosnahan）氏です。ブランド名に取られた「ケイト」とは、ファーストネーム「キャサリン」の愛称です。

　米国・カンザス州で育ちました。ニューヨークでヤング向け女性誌「マドモアゼル」のファションアシスタントとして働いているころ、当時の恋人で後に夫、ビジネスパートナーとなるアンディ・スペード（Andy Spade）から、「君はハンドバッグが大好きだから、会社を立ち上げたら」と勧められたのがきっかけで、１９９３年にハンドバッグのブランドをスタートさせました。こうした理由から、ブランド名は夫の姓と自分の名を組み合わせて「ケイト・スペード」としました。

　使い勝手とデザインを兼ね備えたスタイリッシュなバッグに、ファッションエディターだった経験が生きています。米国でも日本でもキャリアウーマン層に支持されています。９６年にニューヨーク市のソーホー（SOHO）地区に最初のショップをオープンしました。９８年には米国ファッションデザイナー協議会（CFDA）のアクセサリーデザイナー・オブ・ザ・イヤーを受賞しました。

　現在ではバッグだけではなく、靴やジュエリー、ナイトウエア、文房具（ステーショナリー）、アイウェアなども手がけています。化粧品は米国の化粧品メーカー大手のエスティ・ローダーと組んで販売しています。メンズのブランド「ジャック・スペード（Jack Spade）」は夫が手がけています。

　ライフスタイル全般を説いたスタイルブック（全３点、ブックマン社刊）でも有名です。『スタイル／STYLE』『マナー／MANNERS』『おもてなし／OCCASIONS』の３点とも色違いのシックな装丁です。