世界最高レベルの校として知られる教育機関として有名なアントワープ王立芸術アカデミー(ベルギー)のファッション学科長、リンダ・ロッパ氏が7月7日、石川県金沢市の金沢21世紀美術館レクチャーホールで講演会を開きます。ファッション教育に力を入れている金沢美術工芸大学の招きに応じました。
同アカデミーはドリス・ヴァン・ノッテン(Dries Van Noten)氏、アン・ドゥムルメステール(Ann Demeulemeester)氏らいわゆる「アントワープ6(the Antwerp Six)」をはじめ、世界的な著名デザイナーを多数輩出しています。
同アカデミーはニューヨークにあるファッションスクールの名門、パーソンズ・スクール・オブ・デザイン(Parsons School of Design)、ロンドンのセントラル・セント・マーティンズ校(Central Saint Martins School of Fashion)と並んで、世界の3大ファッションスクールと評価されています。特にファッション科は入学試験だけでなく、授業も厳しく、入学しても大半が卒業できずに脱落することで有名です。卒業製作の発表会には世界中からバイヤーが詰めかけます。ロッパ氏は82年から学科長を務めています。
もともとの「アントワープ6」とは、ノッテン氏、ドゥムルメステール氏、ダーク・ビッケンバーグ(Dirk Bikkembergs)氏ら、同科同窓の6人のことです。1988年、彼らが作品をロンドンの「ブリティッシュ・デザイナーズ・ショー」に出品し、好評を博しました。
後に引退した1人の代わりに、マルタン・マルジェラ(Martin Margiela)氏を加えて「アントワープ6」と呼んでいます。同科出身者にはほかに、ヴェロニク・ブランキーノ(Veronique Branquinho)氏、ベルンハルト・ウィルヘルム(Bernhard Willhelm)氏、「A.F.ヴァンデヴォルスト(A.F.Vandevorst)」、ステファン・シュナイダー(Stephan Schneider)氏、ダーク・ヴァン・セーヌ(Dirk Van Saene)氏らがいます。「アントワープ6」と、その後の同科卒デザイナーを総称して「アントワープ派」と呼ぶこともあります。
金沢美術工芸大学は4月、大学院修士課程に「ファッションデザインコース」を新設しました。デザイナーの永澤陽一(ながさわ・よういち)氏が専任教授を務めています。国公立大学がファッション分野の修士課程を設置するのは初めてです。
金沢市は2004年6月、「ファッション産業都市宣言」を発表し、文化・産業振興のテーマに「ファッション」を据えています。山出保市長は6月20日の市議会で、ファション関連の見本市やファッションショーを含む大がかりなファッションイベント「金沢ファッションウイーク」を2006年秋に開催する方針を宣言しました。日本の地方都市がここまで本格的なファッションイベントを仕掛けるケースは珍しいと言えます。
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