「無印良品」の中国本土での第１号店が７月1日、上海市内にオープンしました。前日の夜中まで工事シートで覆われ、かなりガタガタしていて、「これで本当に明日開店できるのだろうか」と心配になっていたのですが、無事に店開きしました。

　奇妙な話ですが、衣料品を販売しません。なぜかと言うと、中国では香港の企業が勝手に同じ商標を登録して衣料品を販売しているせいで、本家の「無印良品」が衣料品を販売できないのです。もし、衣料品を取り扱えば、本家が商標権を「侵害」したとしてあべこべに罪に問われるおそれがあるという異常事態です。このため、1号店では当面、生活雑貨と食品だけを販売する予定です。

　上海一の繁華街、南京西路にある鴻翔百貨店の２階の全フロアを借りて「無印良品」としました。一部報道では「グッチ」などが店を構える目抜き通りといった表現がありましたが、実際に同店がある辺りはそれほど高級ブランド店が軒を連ねているわけではなく、繁華街である南京西路のややはずれといった感じです。香港には既に出店済みでしたが、本土進出はこれが初めてです。

　良品計画は商標権侵害を主張して、登録取り消しを求める手続きを進めています。今回の中国進出は当局に対して「本家」をアピールする意味もあるそうです。

　「無印良品」は「ＭＵＪＩ」として海外に広く進出しています。特に英国ではそのシンプルさ、機能美が高く評価されています。生活雑貨を主に扱うセレクトショップ「コンランショップ」で知られるテレンス・コンラン卿や、映画「コールドマウンテン」「イングリッシュ・ペイシェント」のアンソニー・ミンゲラ監督も「ＭＵＪＩ」好きだそうです。

　「無印良品」は衣料品のデザイン向上に熱心です。２００３年からは「ワイズ（Y's）」「ヨウジ・ヤマモト」ブランドのデザイナー、山本耀司氏が率いるファッション企業、ヨウジヤマモトと提携して衣料品を開発しています。