日本の新進デザイナーがニューヨークでデザイナーの登竜門とされる賞を受賞しました。受賞したのは、東京コレクション参加のファッションブランド「アンリアレイジ(anrealage)」のデザイナー、森永邦彦氏です。
この賞は、ファッションやアート、エンターティンメントを支援するニューヨークの団体「ジェン・アート(Gen Art)」がプロデュースするファッション賞「スタイルズ2005(the Styles 2005 International Design Competition and Fashion Show)」。森永氏はアバンギャルド部門の大賞(Gen Art Design Vision Award For Avant Garde)を受賞しました。
同団体が主催するコンペティションや展示会は新進デザイナーを発掘する場となってきました。ザック・ポーゼン(Zac Posen)氏やレベッカ・テイラー(Rebecca Taylor)氏も同団体のショーやイベントでチャンスをつかみました。
今回の審査員にはジル・スチュアート(Jill Stuart)、キャサリン・マランドリーノ(Catherine Malandrino)、ノーマ・カマリ(Norma Kamali)といった大物デザイナー各氏が名を連ねました。Tシャツをばらして手編みしたニットや、パッチワークで仕立て直したジャケットなど、服をパーツ状に分解したコンセプチュアルな作品が評価されたようです。森永氏は過去にもジャケットを輪切りにした作品や、ファスナーでパーツを取り外して分解できる服を発表しています。
森永氏は早稲田大学卒で、バンタンキャリアスクールのパタンナーエキスパートコース修了という、ちょっと変わったキャリアの持ち主です。早大在学中からバンタンに通うという「ダブルスクール」で技術を身につけました。さらに生地店でアルバイトをして素材を見る目を養ったそうです。2001年に同コースを修了し、2002―2003年秋冬から東京コレクションに参加しています。
「アンリアレイジ」は手仕事の丁寧さと、衣服の常識を疑うコンセプトが持ち味の男女兼用ブランドです。ジェン・アートのサイトでも森永氏のコンセプトを「神は細部に宿る(God is in the details.)」と評しています。デビュー当初から、合同展「rooms」で高く評価されてきました。東京・代官山の新感覚セレクトショップ「スナール(Snarl)」などで取り扱っています。
古いフィルムをそのまま「生地」として使ったドレス、短冊状に切り刻み縫い合わせた服など、マルタン・マルジェラ氏や川久保玲氏を思わせる、衣服を解体する試みを続けています。左右非対称のフォルムにこだわっているのも特徴です。
[関連サイト]
・「ジェン・アート(Gen Art)」の公式サイト(英語)
http://www.genart.org
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