「アレキサンダー・マックイーン（Alexander McQueen）」ブランドを手がけるファッションデザイナー、アレキサンダー・マックイーン氏は２００６年春から、ドイツのスポーツブランド「プーマ（Puma）」とコラボレーションしてシューズをデザインします。メンズとレディース両方の靴を手がけます。最初のシリーズは２００５年９月のロンドンコレクションで発表されるそうです。

　ファッションデザイナーとスポーツブランドのコラボは近年の大きな流れになっています。今回の「プーマ」の試みは「アディダス（Adidas）」とステラ・マッカートニー（Stella McCartney）氏のコラボブランド「アディダスbyステラ・マッカートニー（adidas by Stella McCartney）」の成功を受けたプロジェクトでしょう。「アレキサンダー・マックイーン」と「ステラ・マッカートニー」はともに「グッチ（Gucci）」グループ傘下のブランドです。

　「プーマ」は過去にスーパーモデルのクリスティ・ターリントン（Christy Turlington）と組んでヨガウエアのブランド「マハヌアラ（Mahanuala）」を立ち上げました。ヨガウエアのブランド「ヌアラ（nuala）・バイ・プーマ」のサブブランドという位置付けです。,

　２００４年秋には建築家でインテリアや生活雑貨のデザイナーでもあるフィリップ・スタルク（Philippe Starck）氏と組んでスポーツシューズを開発しました。スタルク氏は東京・浅草のアサヒビール本社やアレッシィ（Alessi）社のキッチン用品で知られます。エリゼ宮（フランス大統領官邸）の大統領執務室のインテリアも手がけました。

　プーマは１９９８年、ファッションデザイナーのジル・サンダー（Jil Sander）氏とコラボでシューズを発表。大ヒットさせました。英国人デザイナー、ニール・バレット（Neil Barrett）氏にも監修を任せています。バレット氏がデザインした「９６アワーズ」シリーズは２００４年秋冬のミラノ・メンズコレクションで披露されました。東京コレクションに参加するデザイナー、三原康裕氏ともコラボを実現し、シューズシリーズ「ミハラ・ヤスヒロ・プーマ」を展開しました。

　一方の「アディダス」は２００２年から、「ワイズ（Y's）」「ヨウジ・ヤマモト」ブランドのデザイナー、山本耀司氏と組んで、スポーツ感覚の最高級ブランド「Ｙ―３」を立ち上げました。そのほかのスポーツブランドでもイタリアのスポーツブランド「エレッセ（ellesse）」が夫婦デザイナーデュオの「イーリー・キシモト（Eley Kishimoto）」と組んで、新ブランド「イーリー・キシモト・エレッセ」」を展開しています。

　よく知られたエピソードですが、「アディダス」と「プーマ」は兄弟ブランドです。１９２０年にダスラー兄弟商会を設立した兄のルドルフ・ダスラー氏と、弟のアドルフ・ダスラー氏が経営の方向性の食い違いから喧嘩別れし、兄のルドルフ氏が４８年に興した企業が後の「プーマ」です。弟のアドルフ氏が率いたのは後の「アディダス」。「アディダス」という名前は弟・アドルフの愛称「アディ」と、苗字の「ダスラー」を合わせた造語です。「プーマ」はドイツ語で猛獣の「ピューマ」を意味します。