イタリアの「プラダ（Prada）」の旗艦店「プラダ　ブティック青山店（エピセンター）」が２００５年の日本建築学会賞を受賞しました。東京・青山に２００３年６月にオープンしました。スイスの建築家集団「ヘルツォーク＆ド・ムーロン」を率いる、世界的な建築家のジャック・ヘルツォーク氏とピエール・ド・ムーロン氏、竹中工務店設計部のデザインチームが設計を担当しました。

　同ビルは、ひし形のガラスをつなげたような独創的な外壁デザインで知られています。巨大な水晶体をイメージしたそうです。地上６階、地下１階。真上から見ると建物自体は五角形をしています。プレタポルテ（高級既製服）、バッグ、靴など、「プラダ」の全ラインアップを取りそろえています。

　ガラスの巨大オブジェのような同ビルは今や南青山のランドマークとなった感があります。ガラスを外壁に使ったブランド旗艦店としては東京・銀座の「メゾン・エルメス」（レンゾ・ピアノ氏設計）が有名です。ただ、「メゾン・エルメス」の四角いブロックガラスとは対照的に、「プラダ　ブティック青山店」は曲面ガラスを多用しています。ピアノ氏は関西国際空港やポンピドー美術館（パリ）を手がけています。

　ひし形のガラス数百枚をはめ込んでいます。ドイツ製のガラスをスペインで加工し、オーストラリアで仕上げました。手がけたのはフランスのガラス加工会社です。竹中工務店得意の免震技術が生かされています。

　内装にも新しいアイデアが盛り込まれています。フィッティングルームでは足元のボタンを踏むと、一瞬にして透明ガラスが半透明に変わります。「チューブ」と呼ばれる、中２階のようなスペースがあちこちに配されています。

　ヘルツォーク＆ド・ムーロンは、２０００年に完成した英国の現代美術館「テート・モダン」で有名です。火力発電所を現代美術館に転用しました。「建築界のノーベル賞」といわれるプリツカー賞を同美術館で２００１年度に受賞しています。両氏はスイス生まれの幼友達です。「プラダ」のビルは日本デビュー作となりました。