フランスの老舗ブランド「セリーヌ(Celine)」でレディースウエアを手がけるロベルト・メニケッティ(Roberto Menichetti)氏が同ブランドを去るのではないかという見方が広がっています。メニケッティ氏はまだたった2シーズンしか「セリーヌ」のコレクションを任されておらず、もし辞任すれば、「グッチ」のアレッサンドラ・ファッキネッティ氏に続く、2シーズンでの辞任となります。
「セリーヌ」はフランスのブランド企業、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンの傘下。「グッチ」の親会社はLVMHのライバルとされる、フランスの流通企業大手、ピノー・プランタン・ルドゥート(PPR)です。巨大ブランド企業が、才能あるデザイナーを起用して老舗ブランドを再生するというこれまでの成功モデルにほころびが見え始めた気がします。
「セリーヌ」は2005年春夏から、米国生まれのイタリア人、メニケッティ氏を起用しました。7年間にわたってデザイナーを務めた、米国人のマイケル・コース氏の後を引き継いだメニケッティ氏は自分の名前を冠したブランド「ロベルト・メニケッティ」も手がけています。
コース氏のクラシック路線からがらりと変わり、2005年春夏でメニケッティ氏はカラフルでポップなスタイルを提案。アイテムでもミニドレスを前面に押し出し、「セリーヌ」を若返らせました。
メニケッティ氏は米国のバッファロー生まれ。ドイツのブランド「ジル・サンダー」を経て1998年から英国の老舗ブランド「バーバリー」に移籍。「バーバリー」のイメージをフレッシュに変身させた実績があります。「バーバリー・プローサム・コレクション」には立ち上げから関わりました。2005年秋冬ニューヨーク・コレクションで自らの「ロベルト・メニケッティ」ブランドをデビューさせています。
後任として名前が挙がっているのが、ニューヨーク在住の中国系デザイナー、ピーター・サム(Peter Som)氏です。サンフランシスコ市で共に建築家の両親の間に生まれました。両親に教え込まれた機能美は彼の現在の作風に影響を与えているようです。
コネチカット大学(Connecticut College)で美術を学んだ後、ファッションの名門校、パーソンズ・スクール・オブ・デザイン(Parsons School of Design)に進みました。「マイケル・コース(Michael Kors)」「カルバン・クライン(Calvin Klein)」などのニューヨークブランドでインターン経験を積みました。「ビル・ブラス(Bill Blass)」で働いたこともあるそうです。
98年に自分の名前を冠したブランド「ピーター・サム」を立ち上げました。シンプルでかつセクシーなデザインを得意としています。米国の「ヴォーグ(VOGUE)」誌が選ぶ「次世代のデザイナー」に選ばれたこともあります。米国のテレビドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ(Sex And The City)」にも彼の作品が登場しました。
|