全体に細身のデザインが目立ちました。黒と赤のコントラストを打ち出しています。ただ、2005年春夏に比べると、やや新味に欠ける感もあります。
朱色がかったオレンジの膝丈ベルベットコートで始まりました。黒のドレスは皮膚にぴったり張り付くタイトなフォルム。貴婦人風のシックな装いです。手には黒い手袋までしています。
太めの肩ストラップで吊ったワインカラーの膝丈ドレスもクラシックなテイストを感じさせます。そうかと思えば、スカートのフロント側は膝小僧が見えているのに、背中側の丈が異常に長く、床をこするような前後アシンメトリーの黒ドレスも登場しました。
パールホワイト・シルクの膝丈ドレスは腕が曲げにくいほど細くなっています。白のジャケットに黒のスカートという、前シーズンと組み合わせもありました。
大輪の赤い花を散りばめた、夏物かと思わせるほどのド派手な膝丈ドレスも見せました。ところどころで黒のシースルーを披露しました。腹部だけを透けさせる工夫もあります。
ソワレラインも細身です。肩出しドレスもノースリーブ・ドレスもボディラインをはっきり表に出すデザインが続きました。
エナメル仕上げのクラシックなハイヒールを投入してきました。上から下までレディーライクな装いで押しています。ネックレスは太く、大ぶりの飾りがじゃらじゃらと連なっています。
レディースのデザイナーは2002年3月のパリ・コレクションからアルベール・エルバス(Alber Elbaz)氏に代わりました。エルバス氏は「イヴ・サンローラン リヴ・ゴーシュ」や「クリツィア・トップ」などを任されてきた実力派です。
モロッコのカサブランカ生まれのイスラエル育ち。現在は米国に腰を据えています。米国ブランドの「ジェフリー・ビーン」で経験を積んだ後、1996年から「ギ・ラロッシュ」でプレタポルテの主任デザイナーを務めました。
99年から「リヴ・ゴーシュ」を任されましたが、グッチグループが「イヴ・サンローラン」ブランドを買収したのに伴い、トム・フォード氏に後を譲り、3シーズンで「イヴ・サンローラン」を離れます。
2001年秋冬からは「クリツィア・トップ」のデザイナーとなりますが、わずか1シーズンで同ブランドを去ることに。こうした「流転の日々」はエルバス氏の実力から考えて不運なキャリアと言えるかもしれません。そんな彼は今、「ランバン」で充実した仕事ぶりを見せています。
2005年春夏は明るい薄紫のノースリーブ・ワンピースでスタート。上半身はボディにぴったりフィットしています。明るい薄紫は今回のフェイバリットカラーで、繰り返し登場しました。
黒のジャケットとスカートのセットは全体に軽くしわが入っています。スカートはこのところ流行のバルーンタイプ。膝上ですぼまっています。白のワンピースはスカート部がバルーンになっています。
黒のタイト目ジャケットに、白のレーシーな膝丈スカートを合わせています。逆に白のジャケットに黒のスカートという組み合わせもありました。
カーキ色のトレンチコート・ドレスはウエストから下がAライン風に広がっています。明るい薄紫のジャケットに、同色の裾広がり・膝丈スカートをそろえていました。スカートはたっぷりの布地を使い、自然なドレープを持たせました。
全体に微妙なしわ加工を施したコートドレスは高発色の黄色で目を引きます。しわは今回のポイントの一つでした。薄手の生地で仕立てた膝丈ドレスでは全身に、三宅一生氏考案の「プリーツ・プリーズ」をもっと不規則にしたようなしわ加工を施しています。
ターコイズブルーのかんざし風髪留めを使っています。靴はラウンド・トゥのバレエシューズ風です。レモンイエローの細い革ひもを巻き上げた靴は厚底でハイヒールです。ラウンド・トゥのハイヒールもありました。
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