「グッチ(Gucci)」ブランドの新体制が本格的に始動しました。同ブランドを所有するのは、フランスの小売り大手、ピノー・プランタン・グループ(PPR)。百貨店「プランタン」を柱とする小売り企業です。創業一族がPPRの会長に就任し、レディースウエアのデザイナーも交代しました。日本法人でもトップが代わり、新体制で2006年秋に東京・銀座に初の自社ビルをオープンさせる予定です。
PPRは2004年、「グッチ」再建を果たした立て役者のデザイナー、トム・フォード氏、最高経営責任者(CEO)だったドメニコ・デ・ソーレ・氏を追い出しました。2005―2006年秋冬シーズンを最後に、「グッチ」のレディースウエアのデザイナーだったアレッサンドラ・ファッキネッティ氏も交代させました。
新デザイナーは同ブランドのアクセサリーを担当しているフリーダ・ジャンニーニ氏。ファッキネッティ氏はフォード氏とのつながりが強いとされ、「フォード色一掃」の狙いで交代させられたという見方が根強くあります。フォード氏が「トム・フォード」ブランドを立ち上げると発表したのに伴い、このプロジェクトに参加するのではないかという憶測も流れています。
PPR傘下には「グッチ」のほかに、「イヴ・サンローラン」「ボッテガ・ヴェネタ」「アレキサンダー・マックイーン」「ステラ・マッカートニー」「セルジオ・ロッシ」などのブランドがあります。「ボッテガ・ヴェネタ」は急成長していますが、「イヴ・サンローラン」の再建や、「アレキサンダー・マックイーン」「ステラ・マッカートニー」の収益アップが課題です。
イタリアのグッチ・グループのCEOに2004年7月に就任したロバート・ポレット氏は欧州の食品・日用品メーカー大手、ユニリーバから転じてきました。ユニリーバはスキンケア用品の「ポンズ」「ダヴ」「ラックス」「モッズ・ヘア」、紅茶の「リプトン」、マーガリンの「ラーマ」などのブランドを展開しています。
ポレット氏はアイスクリーム・冷凍食品部門の社長でした。合理的な経営判断を重んじるポレット氏ら経営陣は「グッチ」のウエアにLサイズを加える方針を示したとされ、ファッキネッティ氏はこうした方針変更に抵抗していたともいわれています。
グッチ・グループ・ジャパンは2004年、田中伸一氏を副社長から社長に昇格させました。田中氏は1979年に伊勢丹に入社。バーニーズジャパンの取締役を経てグッチへ。前社長の田代俊明氏も伊勢丹出身(71年入社)。バーニーズジャパンの初代社長を務めました。伊勢丹新宿本店(東京・新宿)でレディースウエアのバイヤーを務めました。福助社長になった藤巻幸夫氏の11年先輩に当たります。
「グッチ」は2006年秋、東京・銀座に旗艦店をオープンさせる予定です。日本最大級の店舗となります。日本では初めて土地・建物を所有します。近畿日本鉄道グループから「銀座近鉄ビル」の土地・建物を取得しました。晴海通りをはさんで「エルメス」「コーチ」の旗艦店と向かい合う立地です。
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