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  (4/25) 2005―2006年秋冬・パリコレクション解説 「フセイン・チャラヤン(Hussein Chalayan)」

 パリデビュー10周年を迎えたフセイン・チャラヤン(Hussein Chalayan)氏は「リアルクローズ」に振れました。黒、グレー、白の無機的な色をベースにしています。

 ツイード風の厚手のジャケットに黒のミニスカート、黒のアンクルストラップシューズというシックなラインを打ち出しています。グレーのミニと靴のマッチングも見せています。

 グレーのミニ丈半袖ワンピースは脇に切れ込みを入れて、地肌をのぞかせています。アクセサリーなしで、イノセント(無垢)感を醸し出しています。

 チャコールグレーのスリーピース・パンツスーツは、インナーを大胆に処理。襟周りと前立て以外はシースルー刺繍担っていて、バストが透けて見えます。ジャケットは七分袖。パンツは極細のシガレトタイプです。

 すっきりしたシンプルな黒のパンツスーツも見せました。袖だけを同じ黒の紋様入り別生地に切り替えています。

 ミニ丈のコートドレスは真っ白で丸襟。ウエストのくびれを強調する絞りラインを配しています。ノーブル(高貴)なテイストが感じられます。胸の部分に共布を3枚重ねたモデルもあります。折り返した襟がそのまま胸を覆っているような仕立てです。

 白のノースリーブ・ワンピースは太もも部分をバルーンスカート風にふくらませています。ウエスト辺りをくり抜いて窓を開けています。

 襟ボア付きの純白ジャケットとミニスカートの組み合わせも落ち着きが感じられます。フロントはジップアップで、首元は詰まっています。同じジップアップで黒無地のコートもあります。

 ムートン風のモコモコの起毛ショートジャケットはターーコイズブルー。生地は毛足の長いじゅうたんのようです。黒の超ミニドレスに重ねています。袖先から指先がやっとのぞくほどのロングスリーブです。

 ワインカラーの「モコモコ」ジャケットは頭部全体を覆い、埋まった顔だけがわずかに見えています。肩から上にものすごいボリューム感があり、視線が上に引き付けられます。トップスにとんでもない迫力がある分、黒の膝丈ワンピースで控えめに合わせました。

 植物柄のアラベスク模様をすき間なく配した赤紫のトップスに、黒無地のスリムパンツを合わせています。同じ柄のジャケットに黒のミニスカートをマッチさせる提案も見せました。

 ソワレラインではインクブルーの総フリンジ仕立てのドレスをランウェイに送り出しました。鈍くゴールドに光る細かい房を全体に配した古代エジプトの王族を思わせるドレスもあります。

 靴はレザーを正面で縫い合わせ、足の甲全体を覆うシックなデザインのハイヒールです。同じ革のベルトが足首に巻かれています。くるぶしのベルト留めと正面の縫い合わせ以外に何の装飾もないのが、かえって気品を感じさせます。

 チャラヤン氏は1970年、地中海に浮かぶ島国、キプロスの首都、ニコシアで生まれました。ロンドンにあるファッションの名門校、セントラル・セント・マーティンズ校(Central Saint Martins School of Fashion)を93年に卒業。卒業作品はロンドンの有名セレクトショップ「ブラウンズ」が買い取りました。翌94年に自分の名前を冠したブランドを立ち上げました。2002年春夏からパリコレクションに参加しています。

 キプロスの数奇な運命はチャラヤン氏の作品世界に大きな影響を与えています。キプロス島は60年、英国から独立しました。しかし、チャラヤン氏が4歳の74年、 トルコ軍がキプロスに侵攻。主にキリスト教を信仰するギリシャ系住民と、イスラム教を信じるトルコ系住民に分裂しました。チャラヤン氏自身はトルコ系です。

 12歳で渡英しました。英国に移住して長い。ロンドンに暮らし、イタリアで作品を作り、会社があるのはニューヨーク。米国の有力ニュース誌「タイム」のアジア版は2000年、次世代を担うリーダーを選ぶ企画「革新者」のデザイナー部門にチャラヤン氏を選びました。

 オンワード樫山の子会社で、セレクトショップ「ヴィア・バスストップ」を展開するバスストップは2004年春夏から「フセイン・チャラヤン」の輸入販売を開始。2004年4月、初の路面店を東京・代官山にオープンしました。2005年春夏からはディフュージョンライン「チャラヤン」の販売を開始しました。

 「静と動」の二極性を意識したコンセプチュアルな作風で知られています。2003年春夏ではドレスの中央をくり抜いて、中からバリエーション豊かな生地がはみ出してくる重層的な作品を発表しました。アバンギャルドな作品がクローズアップされがちですが、基本的には過剰な装飾を排したミニマルなフォルムを得意としています。

 色も無機的な色を好んで使います。ニットと布帛(ふはく)という異素材を複雑に重ねる手法で知られています。

 89年にニューヨークでデビューした「セイ(TSE)」は98年秋冬から3年間、チャラヤン氏を「セイ・ニューヨーク(TSE New York)」ブランドのデザイナーに起用しました。英国王室御用達の宝飾老舗ブランド「アスプレイ(Asprey)」のファッション部門のクリエイティブディレクターを任されています。

 99年、2000年と、2年連続で「ブリティッシュ・デザイナー・オブ・ジ・イヤー」を受賞しました。94年からロンドンで新作を発表してきましたが、2002年春夏からパリコレクションに発表の場を移しました。作品の評価とは裏腹にビジネス面での成功を収められない状態が続いていましたが、イタリアのジボ・コー(GIBO CO.、フィレンツェ)の支援を受けてパリコレ進出を果たしました。同社はオンワードの子会社です。

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