「グッチ(Gucci)」の元クリエイティブディレクター、トム・フォード(Tom Ford)氏が、イタリアを代表する高級紳士服ブランド「エルメネジルド・ゼニア(Ermenegildo Zegna)」と組んで、メンズウエアを手がける可能性が取り沙汰されています。フォード氏は4月、米国の化粧品メーカー、エスティ・ローダー(ESTEE LAUDER)・カンパニーズエスティ・ローダーと新ブランドを立ち上げることを発表したばかりです。
「グッチ」時代にフォード氏と組んで、会長兼最高経営責任者(CEO)としてグッチ再建を果たしたドメニコ・デ・ソーレ(Domenico De Sole)氏は「ゼニア」ブランドを運営する企業、エルメネジルド ゼニア社(Ermenegildo Zegna SpA)の経営委員会に加わります。デ・ソーレ氏はフォード氏と行動を共にしており、今回のエスティ・ローダーとの新ブランド創設にも関わっています。
デ・ソーレ氏はゼニア社の経営に社外取締役的なポジションで参加することになりそうです。「トム・フォード」ブランドのメンズウエアを同社が手がけるのは確実とみられています。
ゼニア社はもともとは服地メーカー。1960年代から紳士服の自社製造を始めました。日本には77年に日本法人、ゼニア・ジャパンを設立しています。
素材を厳選することで知られ、「ウールマーク」の規格作りにも参加。同マーク認定企業の第1号となりました。
しかし、レディースウエアの日本市場開拓では苦戦しています。グループ傘下のブランド「アニオナ(AGNONA)」では小売り事業から撤退し、2005―2006年秋冬物からは三喜商事に引き継ぐ予定です。53年に創業し、50年を超える歴史を持つ「アニオナ」は99年に「ゼニア」傘下に入りました。カシミヤやアルパカなどの高級素材を得意としています。
その半面、「本業」の紳士向け高級スーツ販売は成長が続いています。中心価格が25万円というパターンオーダー「ス・ミズーラ」の注文会が強みです。
「ゼニア」ブランドは最高価格帯の「クチュール」、主力の「サルトリアーレ」などで構成され、2005年秋にはモードを意識した商品群「Z(ジー)ゼニア」の出店が始まります。靴では「サルヴァトーレ・フェラガモ」と提携しています。
ゼニア社は原料買い付けから始まって染色、糸紡ぎ、服地作り、最終製品製造、小売りに到るまで、自社で一貫して手掛けています。創業者、エルメネジルド・ゼニア氏が1910年に北イタリアの町、トリヴェロで創業しました。スーツブランドとしてはコンサバティブなイメージで知られています。それだけに弁護士や医師といった人たちを顧客に抱えています。
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