「リアルクローズ」路線がはっきり感じ取れます。今や巨匠となったジャンポール・ゴルチエ(Jean Paul Gaultier)氏は「エルメス(Hermes)」が自分に期待していることをしっかりと作品でアピールできているようです。
レザーを多用しています。黒の革ツナギや茶のキャミソールドレスなど、思い切った組み合わせを提案しています。
ムートンのコートに広幅プリーツの膝丈スカートという落ち着いた組み合わせでスタート。でも、コートの襟は超特大です。幅が広いだけではなく、長い。前身頃のほぼ全部を襟が占めていて、襟の下端はももにまで届いています。
カシュクール風のムートンのジャケットは斜めに打ち合わせてあり、へそ周りは三角に開いています。ジャケットの下に着るブラウスに「エルメス」伝統のスカーフを使っています。
フリンジをあちこちに使っています。フリンジを襟に配した茶色コート。ミニスカートのサイドラインに沿ったフリンジ使い。グランジルックとは一線を画した上品な
茶色の革ツナギを持ち込みました。パンツ部はかなりゆったりしています。トップ部はライダージャケット風のダブルブレストです。
ロシア風のファーのかぶり物を合わせています。帽子のサイドに羽根を付けていました。円筒状の大きな帽子は視線を上に集め、首から下をすっきり見せています。
レザーのマスタードカラーのジャケットに、同じ色のキャスケットを重ねています。大襟のジャケットにはリザード(は虫類)をあしらいました。
ベルベットをジャケットやパンツに使っています。ダークグリーンのロングドレスも見せました。
レザーのジャケットのフロントには大きく「H」の文字がデザインされています。襟からつながっている前立てと、バスト下で横に渡したバーが「H」に見える仕掛けです。
「エルメス」の象徴とも言えるスカーフモチーフもところどころで採り入れています。かつて「やんちゃ坊主」だったゴルチエ氏は今ではビジネスがきちんと理解できるデザイナーに成長し、細かいところで「エルメス」の伝統を重んじる意識を感じさせます。
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