フランスの高級バッグブランド「ゴヤール（Goyard）」が４月１３日、高島屋東京店（東京・日本橋）にオープンしました。同ブランドはキャンバス地に配した杉綾（すぎあや）模様が有名。「ルイ・ヴィトン」より１年早い１８５３年に創業した老舗です。１９６０年代には昭和天皇が購入されたといいます。

　高島屋の「ゴヤール」店は１階の正面玄関を入ってすぐという最高の場所にあります。売り場面積は６２平方メートル。新規出店のバッグブランドとしては異例の待遇で、高島屋の期待の大きさをうかがわせます。

　日本の百貨店では伊勢丹本店（東京・新宿）だけにしか出店していません。高島屋の売り場面積は伊勢丹の約２倍。高島屋内の店舗では年間５億円の売り上げを期待しているそうです。

　同ブランドは職人による少量生産という事情から、今後、日本国内で新店ができる可能性は低いとみられています。ただ、日本以外への進出は進めており、６月に中東のクウェート、９月に香港とロンドンに出店するそうです。

　同ブランドはモデルやファッション業界関係者にファンが多いことで知られています。とりわけトートバッグ「サン・ルイ」（５万７７５０円から）は人気が高く、入手困難です。好みでイニシャルや模様を特別注文できるのも魅力です。

　伝統の杉綾模様は手で何度も塗り重ねて描かれています。綿と麻のキャンバス地に天然ゴムをコーティングしています。

　百貨店以外では三陽商会のセレクトショップ「ラブレス（LOVELESS、東京・青山）」が１階ほぼ全部を使って大々的に取り扱っています。日本では２００３年に伊勢丹が国内第１号店を開き、「ラブレス」は２００４年から取り扱いを開始しています。

　高島屋ではオープン記念として、新しいショルダーバッグ「フィッジィ」（９万４５００円から）など３種類を国内で最も早く発売しました。「サン・ルイ」は１０色すべてをそろえました。

　「ゴヤール」は１９７０年代に素材の質を落として大量生産した結果、業績が低迷しました。ホテルを経営していたジャン・ミシェル・シニョール氏がホテルを売却して、創業家に代わって経営に乗り出したのが９８年のことです。自らも「ゴヤール」の大ファンだったシニョール氏は素材や生産方式をかつてのように戻し、ブランドをよみがえらせました。