米国の皮革ブランド「コーチ（Coach）」の日本市場開拓の勢いが続いています。４階建ての新店舗「コーチ名古屋栄」を４月８日、名古屋市にオープンしました。「コーチ」がビルのデザインを手がけた「自社仕様ビル」は世界で初めてです。

　米国のコーチ社と住友商事の出資による合弁会社、コーチ・ジャパンが手がけた店舗です。国内１０４店目で同市内では７店目。全国で７番目の旗艦店となります。

　「コーチ」は日本での出店攻勢を続けています。今後４年間で４０店舗も出店する計画です。日本での売上高は２００５年６月期の２倍に当たる８００億円を超える目標を掲げています。

　当面は年１０店ペースで店舗を増やしていくそうです。店舗数は２００９年６月期には１３０に達する見込みです。この時点では国内のバッグや財布などの輸入皮革雑貨市場でのシェア（市場占有率）を現在の約８％から１５％に高めることを目指しています。

　この驚異的な出店を支える知恵袋が、コーチ・ジャパンのエグゼクティブ・ヴァイス・プレジデントに５月１日付で就任する江端徳人氏。江端氏はスターバックス・コーヒー・ジャパンの急成長を成功させた仕掛け人です。コーチ・ジャパンでは店舗戦略や営業、販売の指揮を任されます。住友商事で１３年勤め、米国の名門大学、スタンフォード大額でＭＢＡ（経営学修士号）を取得しています。スターバックスは江端氏の指導の下、店舗数を５年間で５０店舗から５５０店舗へ急激に増やしました。

　「コーチ」は近年、国内で出店を加速し、２００５年６月期の売上高は約４００億円を見込むまでに成長しています。国内の輸入バッグ市場での売上高は「ルイ・ヴィトン」に次ぐ２位になりました。

　店舗網を拡大するのに伴い、ライバル企業との競争も激しさを増しています。米コーチ社とコーチ・ジャパンは３月、「ルイ・ヴィトン」ブランドで有名なフランスのブランド企業、LVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトングループがコーチ側の日本での店舗拡張や新規出店を妨害したと主張して、公正取引委員会に是正を求める申立書を提出しました。