山本耀司氏や高田賢三氏、津森千里氏、渡辺淳弥氏、田山淳朗氏ら数多くの有名デザイナーを送り出してきたファッション専門学校の文化服装学院が新たなチャレンジを始めています。卒業生が入居する「新人デザイナービル」を、東京都中央区の東日本橋地区に、地元問屋団体や中央区と連携して建設しました。
日本橋横山町、日本橋馬喰(ばくろう)町地区には、大小1000以上の繊維問屋が集まっています。この地区の6階建てビルの2、3階を改装して作った住居兼アトリエ3戸に、同学院卒業生3人が入居するそうです。
横山町奉仕会と東京問屋連盟がプロデュースしたまちおこし事業です。区が改装費用の3分の2を補助しました。家賃も補助しています。家賃は比較的安く、1カ月当たり6万円と12万円の2種類があります。新人デザイナーにとっては事務所を構えるのは経済的に厳しいことが多く、この事業によってブランド立ち上げ段階のデザイナーが比較的低コストでビジネスをスタートできるようにすることが期待されます。
同学院は2003年、「文化ファッションビジネススクール」を開校しました。従来のコースよりも進んだ、大学院レベルの専門学校という位置付けです。同スクールのファッションクリエイション研究科の最初の卒業生が2005年春に卒業しています。
フランスの化粧品ブランド「ランコム」を展開する化粧品メーカーの日本ロレアルと組んで、イベント「ランコム カラー・デザイン・アワード」を1月に開催しました。同学院の学生がテーマに合わせた服を作りましした。英国ではファッション界の名門校、セントラル・セントマーティンズ校(Central St Martins College of Art & Design)と組んで開催しています。
海外への進出にも積極的です。2004年9月には中国・上海に初の系列校「上海装苑文化服装学校」を開きました。成長する中国のファッション界で働くデザイナーを育てるそうです。
文化服装学院の学生数は約1万1000人。ファッション誌「装苑」「HF ハイファッション」も発行しています。前身の「並木婦人子供服裁縫教授所」は1919年に創設。36年に文化服装学院と改称しました。大学院レベルの専門学校「文化ファッションビジネススクール」のほかに、女子短大、4年制大学、大学院があります。
同学院の卒業生にはほかに、コシノヒロコ氏、小西良幸氏(通称「ドン小西」)らがいます。「ドレス・キャンプ」の岩谷俊和氏、「リミ・フゥ(LIMI feu)」の山本里美氏、「ミナ ペルホネン(mina perhonen)」の皆川明氏も卒業生です。
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