「ジャンポール・ゴルチエ」ブランドに異変が起きているようです。フランスのジャンポール・ゴルチエ社の社長を長く務めてきたドナルド・ポタール（Donald Potard）氏が辞職したと伝えられました。ポタール氏はゴルチエ氏の長年の友人でもあります。

　１９９０年に社長に就任して以来、同ブランドを世界的に広める上で貢献してきました。しかし、ゴルチエ社の業績は売上高が飛躍的に伸びる半面、赤字が続いていたようです。従業員３人でスタートした同社の売上高は２００４年には年間４億５０００万ユーロ（約６０７億円）に達しています。

　ゴルチエ社にはフランスの老舗ブランド企業、エルメス社が９９年から３５％出資しています。ライブドアとニッポン放送の一連の買収騒動で分かる通り、３５％という出資比率は、エルメス社がゴルチエ社の経営権を握っていることを意味しています。

　今回の社長解任はエルメス社の意向が強く働いた結果とみられています。早期に黒字転換を目指すエルメス社は、ゴルチエ氏をコントロールしていく上で、ポタール氏の存在をマイナスだと判断したようです。ゴルチエ氏は２００４―２００５年秋冬から、「エルメス」ブランドの主任デザイナーを務めています。

　ゴルチエ氏は２００４年から、お手頃価格の新コレクション「ラ・ルドゥート・バイ・ゴルチエ」の通信販売を始めました。フランスの通信販売サービス会社大手のラ・ルドゥートと提携しています。

　日本では新ライセンスブランド「ジャンポール・ゴルチエ　フュージョン」が２００５年春夏から本格的にスタートしました。コレクションラインの「ジャンポール・ゴルチエ」とは別物の日本向けライセンスブランドとなります。ゴルチエ氏を無名時代から育ててきた、アパレルメーカー大手のオンワード樫山がライセンス契約を結び、生産・販売を担当します。