２００５―２００６年東京コレクションで「シアタープロダクツ（THEATRE PRODUCTS）」のショーに、ジャクージバス付きの巨大リムジンが登場します。ドイツのＢＭＷの日本法人、ビー・エム・ダブリューが宣伝用に提供する小型車「ミニ」のストレッチリムジン。全長は市販車の２倍近い６メートルもあり、リアにはジャクージバスを備えています。

　「シアタープロダクツ」は毎シーズン、趣向を凝らした演出で観客を楽しませることで知られています。過去には川沿いのカフェで、ボートに乗った後のモデルたちが平均台の上を歩くという演出を試みたこともあります。モデルが商業ビル「ラフォーレ原宿」（東京・原宿）の前で自由に過ごすという演劇的演出も見せました。ブランド名にも「シアター」とある通り、「洋服を作り続ける劇団」というコンセプトを掲げています。

　販売手法も演劇的です。東京・渋谷のファッションビル「ゼロゲート」内のショップ「シアタープロダクツ渋谷店」では、ファッションショーに出演したモデルが「生きたマネキン人形」を演じました。大きな布に張り付いたＴシャツを、客が自分ではがして買うという、消費者参加型のＴシャツ展示販売会を開いたこともあります。

　「シアタープロダクツ」はデザイン担当の武内昭（たけうち・あきら）、中西妙佳（なかにし・たゆか）と、宣伝広報担当の金森香（かなもり・かお）の３氏が２００１年に立ち上げました。１９７６年生まれで社長の武内氏は「コム・デ・ギャルソン（COMME des GARCONS）」のパタンナーを務めた経験があります。７７年生まれの中西氏はサンエーインターナショナル勤務を経て独立。２人ともファッション専門学校のエスモードジャポン卒。

　７４年生まれの金森氏は、ロンドンにあるファッションの名門校、セントラル・セント・マーティンズ校（Central Saint Martins School of Fashion）を卒業しています。東京・青山のリトルモアギャラリー勤務を経て、同ブランド設立に参加しました

　今回、ショーに登場するリムジン「ＭＩＮＩ　ＸＸＬ（ミニ　ダブル・エックスエル）」はもともと、２００４年のアテネ五輪用に作られた車だそうです。国立競技場（東京・新宿）で４月６日に開かれる「シアタープロダクツ」のショーで公開されます。

　車体の前部と後部のデザインは「ミニ」の市販車とあまり変わりませんが、車体中央部を超ロングボディーに延ばしました。タイヤは通常車両よりも２本多い６本です。「ミニ」の名前とは裏腹の巨体です。

　ブランドイメージを高めるための車らしく、豪華な内装になっています。運転席、助手席のほかに、ボディー中央部に大人４人が向かい合って座れます。テレビやミニバーも装備したラグジュアリーなインテリアです。でも、国内の公道は走れませんし、市販や特別注文生産の予定もないそうです。