ソフィア・コッポラ(Sofia Coppola)監督の新作映画「マリー・アントワネット(Marie Antoinette)」に、フランスのデザイナー、ジル・デュフール(Gilles Dufour)氏が出演します。伯爵役だそうです。デュフール氏はカール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)氏の下、「シャネル(CHANEL)」でニット部門のデザイナーを長く務め、現在は自分の名前を冠したブランド「ジル・デュフール(Gilles Dufour)」を手がけています。
デュフール氏は「ピエール・カルダン(Pierre Cardin)」「クロエ(Chloe)」「フェンディ(Fendi)」のアシスタントを経て、1983年から約15年間、「シャネル」のニット部門を支えました。99年秋冬からフランスの老舗(しにせ)ブランド「バルマン(Balmain)」の主任デザイナーに就任。その後、自分のブランドを立ち上げました。日本ではサンフレールが展開しています。
「バルマン」では2000年春夏に、胸に大きく「BALMAIN」や「BABE」と書いたTシャツがヒット。自分のブランドでもロゴのデザイン化を得意技ににしています。カシミヤのニットに強みを発揮しています。
かつて「ピエール・バルマン(Pierre_Balmain)」として知られましたが、デュフール氏を起用したのに合わせ、ブランド名を「バルマン」に変更。しかし、その甲斐もなく、デュフール氏が離れた後の2004年春、事実上、倒産しました。
創業デザイナーのピエール・バルマン氏が1945年に創設し、女優のマレーネ・ディートリヒやビビアン・リーにも愛されたそうです。創業者が82年に亡くなって以降、迷走が続き、99年のデュフール氏起用はブランド再建の切り札とみられていました。
映画では主人公の王妃、マリー・アントワネット役を、映画「スパイダーマン2」でヒロインを演じたキルスティン・ダンスト(Kirsten Dunst)が演じています。
コッポラ監督は、「ゴッドファーザー」シリーズや「地獄の黙示録」で知られる巨匠、フランシス・フォード・コッポラ監督の娘。東京を舞台にした、監督第2作目の「ロスト・イン・トランスレーション」で米アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞しています。
ちなみにいとこのジュエリーデザイナー、ヴィクトワール・ド・カステランヌ(Victoire de Castellane)氏は99年から、「クロスチャン・ディオール」のデザイナー。その前はラガーフェルド氏とともに「シャネル」のアクセサリーを長く制作してきました。彼女も今回の映画をサポートしているようです。
なぜ、映画監督がこんなキャスティングをするのか、不思議に思う人もいるでしょう。実はソフィア・コッポラ監督は映画界でキャリアを築く前に、ラガーフェルド氏の指導の下、「シャネル」でファッションを学んだファッションエリートなのです。
ソフィア・コッポラ氏はデザイナーとして「ミルク・フェッド(Milk Fed)」というブランドも立ち上げています。キュートでガーリーなテイストのカジュアルブランドです。
ファッション通の映画監督が本格的な中世フランスのコスチュームプレーをどのように映像化するのか、ファッションマニアならずとも興味がわくところです。映画は2006年に公開される予定です。
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