イタリアの老舗ブランド「ヴァレンティノ(Valentino)」を手がける大物デザイナー、ヴァレンティノ・ガラヴァーニ(Valentino Garavani)氏が同ブランドの主任デザイナーを退くのではないかという観測が欧米のメディアで流れ始めました。1932年生まれのガラヴァーニ氏は既に70歳を優に超えており、以前から後継者探しの必要性が指摘されていました。早ければ、2006年1月のパリ・オートクチュールコレクションで引退する可能性もあるようです。
後任の主任デザイナーは未定ですが、一部では「バレンシアガ(Balenciaga)」のニコラ・ゲスキエール(Nicolas Ghesquiere)氏、「ランバン(Lanvin)」のアルベール・エルバス(Alber Elbaz)氏らの名前が取り沙汰されています。創業デザイナーのイメージが強いため、あまり個性の強い後継者を起用すると、長年の顧客が離れてしまうおそれがあり、かえって有名デザイナーを起用しにくい事情もあるようです。
ガラヴァーニ氏のブランドはオートクチュール(高級注文服)も手がける総合服飾ブランド。勝利のシンボルと自分の姓から取った「V」のマークもおなじみです。
創業者本人が今なお自分でデザインを手がけている点でも貴重なブランドです。2005年秋冬パリ・オートクチュールコレクションでもスーパーモデルのナオミ・キャンベルと腕を組んでキャットウォークに現れ、健在ぶりをアピールしました。
ガラバーニ氏は1932年、イタリア、・ロンバルディアのヴォゲラ市生まれ。パリでオートクチュールの技術を学び、ジャン・デッセ、ギ・ラロッシュのアシスタントを務めた後、59年、ローマに最初のブティックを開き、60年に同ブランドを立ち上げました。68年に白だけの「ホワイトコレクション」を発表し、知名度を上げました。「V」マークをブランドロゴに採用したのも、このときが最初です。
ジョン・F・ケネディ米大統領夫人だったジャクリーヌ・ケネディ氏がギリシャの海運王、アリストテレス・オナシス氏と再婚したときの結婚式で着たレースのミニドレスをデザインしたことでも有名です。女優のオードリー・ヘプバーンやエリザベス・テーラー、ソフィア・ローレン、ダイアナ元英国皇太子妃も顧客でした。
イタリアのヴァレンティノ社は2002年、イタリアの有力アパレルメーカー、マルゾット社に買収され、ブランドの建て直しが進んでいます。マルゾット社は「ヒューゴ・ボス」「エム・ミッソーニ」「ジャンフランコ・フェレ ストゥーディオ」などの製品を生産しています。
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