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  (3/4) 「ヘルムート・ラング」なきパリコレ

 2005―2006年パリ・コレクションから「ヘルムート・ラング(Helmut Lang)」の名前が消えました。同ブランドの創業デザイナー、ヘルムート・ラング氏が、同ブランドを保有するプラダグループから離脱するなど、ブランド内部の混乱が尾を引いているようです。

 プラダグループは1月、ラング氏のグループ離脱を発表しました。プラダのパトリツィオ・ベルテッリ(Patrizio Bertelli)最高経営責任者(CEO)が米国のヘルムート・ラング社の経営を引き継ぎ、創業デザイナーを失ったブランドの建て直しに取り組むことになります。

 プラダグループは1999年、ラング社を買収。さらに2004年には100%子会社としました。

 ブランド建て直しのカギは後継デザイナー。一部では「プラダ・スポーツ」を手がけているクリスティアン・ニーセン氏が就任するのでは、という観測が流れています。

 ドイツのブランド「ジル・サンダー(Jil Sander)」の創業デザイナー、ジル・サンダー氏も2004年11月、プラダグループに別れを告げました。プラダはラング社を買ったのと同じ99年、「ジル・サンダー」も買収しています。

 両ブランドとも人気、実績ともに低迷しており、プラダグループとしてはてこ入れの必要を感じていたようです。しかし、どちらも「創業デザイナー抜きの名前だけブランド」になるわけで、果たしてプラダ側の思い通りにブランド再生が実現するかどうかには疑問符が付くところです。

 サンダー氏は2000年にいったん離脱しており、以後、同ブランドは苦戦を強いられました。今回は2度目の、そしておそらく最後の「サヨナラ」となる見通しで、相当数の顧客が離れていくのは避けられそうにありません。

 ラング氏は56年、ウィーンで生まれました。高校卒業後、ファッションデザインを独力で学んだ異色の経歴を持ち、76年にブランドを立ち上げました。86年にパリ・コレクションでデビュー。一時、ニューヨークに発表の場を移し、再びパリに戻っています。

 ミニマリズムの代表的なデザイナーとされます。過剰な装飾性を排除したシンプルなラインを得意とし、色合いも白やグレー、ベージュなどをベースにしています。

 34歳だった91年には、フランスの権威ある業界誌「ジュルナル・デュ・テクスティル」が年に2回発表するデザイナー人気投票で、ジャンポール・ゴルチエ氏に次ぐ第2位にランクされるほど、高い人気を誇りました。しかし、今や「エルメス」の主任デザイナーとなり、自らのブランドも成功させているゴルチエ氏とはずいぶん、差ができてしまったようです。

 サンダー氏は43年、ドイツのハンブルグで生まれました。ファッションジャーナリストを経て68年、ハンブルグでブティックをオープン。73年、パリ・コレクションでデビューしました。後にミラノヘ発表の場を移しました。ラング氏と同じく、ミニマリズムの旗手として知られています。

 プラダグループに買収された後、サンダー氏はプラダ側との意見対立などから2000―2001年秋冬を最後に「ジル・サンダー」ブランドの主任デザイナーを辞任。2004年春夏で約3年ぶりに復帰しましたが、2004年11月、再びデザイナーを辞任しました。

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