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  (3/2) 2005―2006年秋冬ニューヨーク・コレクション速報 「ザック・ポーゼン(Zac Posen)」

 「ザック・ポーゼン(Zac Posen)」は過去最高とも思えるコレクションを見せました。アイデアがランウェイからあふれ出て、観客を溺れさせてしまうかのようなバリエーションの広さで、その勢いを証明しました。

 ドレープ、プリーツ、ラッフルと、様々なアプローチで起伏を付け、空間的な広がりを強調していました。モデルが足を踏み出すたびに、服とその周りの風景が表情を変えるという「インスタレーション(空間彫刻)」的な計算が織り込まれています。

 モスグリーンの半袖ドレスは上腕部にパフスリーブを用いて、このところの流行への素早いリアクションをうかがわせます。しかも、単に流行りを追うだけではなく、モデルの頭が入るほど、袖に異常なふくらみを持たせるなど、ウイットのきいた仕掛けを施していました。

 シフォン地のロングドレスはギリシャ神話の女神を思わせる出で立ち。メタリックの蛇の刺繍が毒気を漂わせます。

 細身のパンツ。ハイウエストのペンシルスカート。古代ギリシャ風のヒラヒラフワフワしたドレス。1点1点異なるアイデアを盛り込み、まるで1人のデザイナーのコレクションではなく、複数の合同展かと見まごうほどです。

 ほかのデザイナーにあまり見られない提案としては、タイツが挙げられます。忍冬唐草文様のようなゴールドの植物風模様を全体に配したタイツはクラシックでセクシーな不思議なムードを醸し出していました。

 ハイヒールはかかとをしっかり包むデザイン。かかと部分にはタイツに使ったのと似た曲線主体の文様を施しています。

 ザック・ポーゼン(Zac Posen)氏は1980年、ニューヨークで生まれました。ブルックリンのセント・アン美術学校(St Ann's School for the Arts)を卒業。 ロンドンにあるファッションの名門校、セントラル・セント・マーティンズ(Central Saint Martins School)に進みました。2001年に同校をやめ、ファッションの世界へ。2002年春夏から自分のコレクションを発表し始めました。

 ポーゼン氏は2年間、ニューヨークのメトロポリタン美術館(Metropolitan Museum)のコスチュームインスティチュート(Costume Institute)でインターンとして働きました。コスチューム部門を率い、99年に亡くなった主任学芸員、リチャード・マーティン(Richard Martin)氏の薫陶を受けています。ここでのファッション史の研究が後の彼の作品に反映されています。「ニコル・ミラー(Nicole Miller)」「トッカ(Tocca)」でも働いた経験があるそうです。

 有名女優や歌手にファンが多いことでも知られています。「スター・ウォーズ」シリーズのアミダラ姫役で知られるナタリー・ポートマン(Natalie Portman)や、グウィネス・パルトロウ(Gwyneth Paltrow)、ハル・ベリー(Halle Berry)、ジュリアン・ムーア(Julianne Moore)、ミラ・ジョボヴィッチ(Milla Jovovich)、リブ・タイラー(Liv Tyler)らが顧客とされています。

 「パフ・ダディ(P. Diddy)」の芸名で知られるヒップホップ・ミュージシャンのショーン・コムズ(Sean Combs)がポーゼン氏のビジネスパートナーとなっていると伝えられています。そのせいか、2005―2006年秋冬のニューヨーク・コレクションではヒップホップ・ミュージシャンのジェイ・ Z(Jay-Z)やフォクシー・ブラウン(Foxy Brown)が顔を見せていました。

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