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  (3/2) 2005―2006年秋冬ミラノ・コレクション速報 「ヴェルサーチ(Versace)」

 「ヴェルサーチ(Versace)」はこれまでよりもシックでクールなまとめ方で変化を感じさせました。ラグジュアリーテイストを抑えて、「リアルクローズ(着られる服」志向を強める動きが多くのメゾンで見られます。機を見るに敏な「ヴェルサーチ」もこの流れに乗っているようです。

 見所は襟です。巨大な襟が肩まで包む込む「メガカラー」。コートでもジャケットでもこの「メガカラー」が見る人の目を引きつけていました。

 ドナテッラ・ヴェルサーチ(Donatella Versace)氏の路線はいつもながらのゴージャス&ラグジュアリー。ただ、今回はクリームがかった白が目に付き、これまでよりも「ギラギラ」感は薄れていたような気がします。

 左右どちらかの肩だけを露出した黒の膝丈ワンピースドレスはシックでウエアラブルなライン。長袖で肌にピッタリしたフォルムです。全体のボディコンシャスなフォルムが目立ちました。

 肌の露出に工夫が見られました。黒のレザージャケットは胸の谷間がはっきり見えるほど深く切れ込みを入れています。タートル風に首が詰まったドレスでも、首の下のバスト部には縦に大きなスリット。鎖骨と胸の間を露出したデザインも。バストトップが透けて見えるシースルーは全面に細かいしわ加工を施しています。


 キーカラーはクリーム。ウールコートやレザーブーツにクリーム色がトーンを変えて配されています。


 キュートなターコイズブルーのコートは、「ヴェルサーチ」っぽくない若々しさを感じさせます。ターコイズブルーのジップアップ・バイカージャケットも登場しました。ピンクパープルや若草色も投入。若草色のセーターは片方の肩だけが下がったアシンメトリー。袖先は大きく開いています。脇の下に妙にたるんだボリュームを持たせる仕掛けの服もあり、オーソドックスなラインが多かった「ヴェルサーチ」にちょっとした変化が感じられました。


 ただ、ゴージャス路線は相変わらずで、世紀末ウィーンの画家、グスタフ・クリムト(1862〜1918年)の絵画「接吻」を思わせる、金糸を贅沢に使った総柄ドレスは圧巻。トレードマークのメデューサ(Medusa、その姿を見た者を石に変えてしまうという、ギリシャ神話に登場する、髪が蛇のモンスター)モチーフはこれまで以上に前面に押し出されています。

 ファーで丸ごとくるんだようなバッグは迫力たっぷり、かわいさしっかり。太めのチェーンで持ち手との間をつないだ金ピカのレザーバッグもパワフルでした。手首に引っかけるショートストラップ付きバッグはほかのメゾンでも見られましたが、「ヴェルサーチ」も採り入れていました。

 靴は膝下寸のハイヒールブーツがメーン。クリーム、ベージュなどのやわらかい色合いを押し出しています。サイドに6個もの留め具を並べ、パンチを効かせています。小物ではほほまで届くダークカラーのサングラスでマニッシュなイメージを演出しています。

 ランウェイの最前列には「プラダ」を率いるミウッチャ・プラダ氏が顔を見せました。一部では「プラダがヴェルサーチに接近しているのでは」という憶測を呼んでいます。

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