米国映画界最大のイベント、米アカデミー賞の授賞式が２月27日、ロサンゼルスで開催されました。毎回、出席する女優のあでやかなファッションが舞台となりますが、今回は初司会を務める黒人俳優、クリス・ロック（Chris Rock）の発言が波紋を広げています。

　第77回アカデミー賞の司会者には、毒舌で有名な若手コメディアンのロックが抜擢（ばってき）されました。ロックはコメディー番組「サタデー・ナイト・ライブ」のレギュラーを務め、人気を得ました。俳優としては映画「ビバリーヒルズ・コップ２」「リーサル・ウェポン４」に出演しています。

　同賞はベテラン俳優のビリー・クリスタルのウイットがきいた進行に定評がありましたが、今回はクリスタルがニューヨークで舞台に出演しているため、代役としてロックが起用されました。ロックがお得意のマシンガントークで式を盛り上げる効果を期待されているようです。

　しかし、ロックは司会の指名を受けた後、「アカデミー賞はただのファッションショー。ゲイしか見ない」と発言。批判を呼びました。「（授賞式は）ばかばかしいので、これまで見たことがない。コメディーが評価されず、黒人があまりノミネートされない授賞式なんて見ない」とも語っています。

　もちろん、授賞式の主役は俳優や監督、プロデューサーらであって、彼らのファッションではありません。でも、ファッション界にとってもこうした晴れ舞台は大事な表現の場となっています。受賞する女優にとっても自分たちのファッションスタイルや思想をたくさんの視聴者に訴える絶好の機会です。

　「シャネル（CHANEL）」は2005年春夏パリ・コレクションで、映画賞授賞式でおなじみの「レッドカーペット」をテーマに据えました。モデルを女優のように登場させ、ハリウッド女優のニコール・キッドマンもキャットウォークに上げました。ニューヨークブランドの「ヘザレット（Heatherette）」はMTVビデオアワードから広まりましたし、歌手・女優のビョークがカンヌ映画祭やアカデミー賞の授賞式で白鳥モチーフのドレスを着なければ、「マラヤン・ジョジョヴ・ペジョスキー（Marjan Djodjov Pejoski）」がこれほど注目を浴びることはなかったかもしれません。

　こんな騒動の中、ハリウッド女優たちがどんなファッションを選ぶかに、例年にもまして興味が集まっています。日本ではWOWOWが独占放送（28日午前９時550分〜午後３時、再放送は午後９時から29日午前１時）するので、興味のある方はチェックしてみてはいかがでしょうか。