米国の有力百貨店「サックス・フィフス・アベニュー(Saks Fifth Avenue)」の日本出店が計画より遅れています。2003年に日本進出を発表した時点では2005年秋をめどに第1号店を開く予定でしたが、2006年以降にずれ込むとみられています。
「サックス・フィフス・アベニュー」を運営するサックス・フィフス・アベニュー・エンタープライジズは、2004年11月になってようやく新社長を含む経営体制が固まったばかり。現在のトップはダナ・キャラン・インターナショナルの会長だったフレッド・ウィルソン氏です。
サックスグループはまだ全体の方向性がはっきりしていません。エンタープライジズを含むサックスグループを統括する持ち株会社のサックスが高級百貨店の「サックス・フィフス・アベニュー」だけを残し、残りの部門を売却するか、切り離すのではないかという見方が広がっています。グループ全体の枠組みが決まらないと、日本出店に本腰を入れられない状況です。
「サックス・フィフス・アベニュー」は商品の買い取りや売り場の自主編集を基本スタイルとしています。こうした手法は、伊勢丹の「解放区」などを除けば、日本の百貨店があまり手がけてこなかったアプローチ。しかし、その実現のためには十分な資金力と優れたバイヤー陣が不可欠で、経営体制の確立が前提条件となります。
日本法人、エス・エフ・エー・ジャパンの出資者の顔ぶれは異色。筆頭株主は産業用照明機器メーカーの森電機。丸ビルを手掛けた商業施設コンサルタント、アイ・エル・シーも大株主で、同社の八木岡穂積社長が日本法人の社長を務めています。出資している商業施設運営会社の親風社中には、設楽洋・ビームス社長、佐々木啓之・トゥモローランド社長らが出資しています。
米国の百貨店大手が日本へ自ら本格進出するのは初めて。「サックス・フィフス・アベニュー」のアジア進出も日本が最初となります。
米国で苦戦する「サックス・フィフス・アベニュー」は日本市場に新天地を求める格好です。ただ、2004年12月に「バーニーズ・ニューヨーク銀座店」がオープンし、「サックス」が期待するラグジュアリーファッションの市場余地がどの程度残されているのかは不透明です。進出発表時点では、第1号店の出店から10年で10店程度出店するのではないかとみられていましたが、出店ペースがダウンする可能性もありそうです。
「サックス・フィフス・アベニュー」は米国・ニューヨーク一の目抜き通り、5番街に本店を構える老舗百貨店。1867年に創業し、本店は1924年に開店しました。日本進出を発表した時点では米国内で60店舗を展開していました。98年に百貨店チェーンのプロフィッツ(アラバマ州)に買収されています。
米国女優のウィノナ・ライダーは2001年、洋服やアクセサリーなど約5500ドル相当を万引きし、有罪判決を受けました。彼女が万引きした場所は、高級住宅街・ビバリーヒルズの「サックス」でした。
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