伊勢丹は米国の高級セレクトショップ「バーニーズ・ニューヨーク」から資本面で手を引く見通しです。伊勢丹はバーニーズとライセンス契約し、伊勢丹全額出資子会社のバーニーズ・ジャパンを通じて銀座、新宿、横浜で「バーニーズ・ニューヨーク」を３店舗経営しています。３店舗の運営は、今回の資本面での「縁切り」に関係なく、継続する見通しです。

　伊勢丹はバーニーズ株の約６％を保有しています。この保有株すべてを米国のアパレル企業、ジョーンズ・アパレル社に売却するようです。

　ジョーンズは既に、バーニーズの大株主だった米国のファンドからバーニーズ株を取得しています。買収価格は総額約４億ドル（約420億円、１ドル＝105円で換算）と発表されています。

　ミドルクラスのアパレル商品を得意としてきたジョーンズはバーニーズを買収し、高級ファッション市場に進出する計画のようです。ジョーンズは米国の総合小売り大手、シアーズ・ローバックに、職場で着られるカジュアルテイストのレディースアパレル「Ａライン」を納入しています。

　伊勢丹とバーニーズは1980年代末に業務提携を結び、90年に新宿店が、93年に横浜店がオープンしました。2004年末には銀座店がオープンしたばかりです。バーニーズは経営が行き詰まり、96年に米連邦破産法を申請しましたが、99年に破産法手続きを終えています。

　ジョーンズは99年に米国のレディース靴製造・販売最大手のナイン・ウエスト（NINE WEST）を買収しました。一時は「カルバン・クライン」の買収候補としても名前が挙がるなど、近年、買収によるブランド戦略の強化を積極的に進めています。