ファッションリーダーとして有名な、米国の大物歌手、マドンナがイタリアのブランド「ヴェルサーチ（Versace）」の顔になります。2005年春夏物のキャラクターに起用されました。

　今回のマドンナ起用はブランドイメージの回復が主な狙いのようです。営業不振に悩む「ヴェルサーチ」は2004―2005年秋冬のパリ・オートクチュールコレクションの参加を見合わせるなど、厳しい経営状況にあります。2004年に最高経営責任者（CEO）を外部から迎え、再建を急いでいるところです。

　創業者のジャンニ・ヴェルサーチ氏は1997年に悲劇的に殺害され、以後、社内の動揺が続いてきました。妹のドナテッラ氏が主任デザイナーを務めていて、ドナテッラ氏はマドンナの友人でもあります。

　「ヴェルサーチ」は2003年度に2600万ユーロの巨額赤字に陥りました。さらに、ジャンニ氏のめいで遺産相続人のアレグラさんが2004年、当時18歳の若さで筆頭株主となるなど、依然として社内に不安定な要素が残っています。

　1990年代に「ヴェルサーチ」の広告モデルを務めたマドンナは「ご恩返し」で再登板した格好。ドナテッラ氏とマドンナの「ゴージャスセクシー」路線で業績回復につなげたいところです。