「バーバリー・ブルーレーベル」ブランドで知られる三陽商会が次の一手を探っています。「ブルーレーベル」がヒットして業績を伸ばしてきたのですが、その伸び悩みがはっきりしてきたようです。

　三陽商会の期待の新ブランドが「スマッキーグラム（Smacky Glam）」。米国の大ヒットテレビドラマ「セックス＆ザ・シティ（SEX AND THE CITY）」の衣装デザインを担当していたファッションプロデューサーでスタイリストのパトリシア・フィールド（Patricia Field）氏をクリエイティブアドバイザーに起用しました。

　フィールド氏はニューヨークのセレブリティーのファッションリーダー。自分の名前を冠したブティックを1966年、グリニッチヴィレッジにオープン。96年には２店目のブティック「ホテル・ビーナス」をソーホーに開きました。ニューヨークで暮らす独身キャリア女性４人の私生活を描き、「史上、最もファッショナブルなテレビドラマ」といわれた「SATC」の衣装デザインでエミー賞を受賞しています。

　「スマッキーグラム」のターゲットは20〜25歳の女性。「デイリーラグジュアリー」「セクシーモード」をコンセプトにしています。上品なイメージを大事にしてきた三陽商会が「セクシー」を前面に押し出したブランドを立ち上げるのは、大きな方針転換とも言えるでしょう。

　屋外で着る健康的なイメージの「昼用」と、クラブやパーティーで着る「夜用」という２ラインを設定しているのも新しい試みです。同ブランドは同社としては初めてのファッションビル内専門店向けのオリジナルブランドとなります。

　同社は2004年12月期の連結経常利益は前期比３２％減の90億円に落ち込む見通しだと発表しました。当初の予想は同１％増の133億円でしたが、暖冬の影響でコートやセーターの売れ行きが鈍く、予想を下回りました。

　「ブルーレーベル」は96年にデビュー。当時、人気絶頂だった歌手・安室奈美恵が97年10月、SAMとの結婚を発表する記者会見の会場に、同ブランドのチェック柄スカートをはいて現れたおかげで、問い合わせが殺到し、このスカートはまたたくうちに売り切れてしまいました。その後も長くヒットが続きましたが、さすがに10年目を迎え、息切れしつつあるようです。「スマッキーグラム」を、「ブルーレーベル」に続く大型ブランドに育てられるかどうかが、今後の収益改善のポイントになるでしょう。